化粧師-KEWAISHI


この間日本に行って、本屋でたまたま石ノ森章太郎の原作本を見かけた。前は絶版だと聞いていたので、たぶん映画化の勢いに乗って双葉社から文庫版が出していた。即購入。読んでいてすごく満足した。化粧師(けしょうし)ではなく「化粧師(けわいし)」、化粧よりプロデュースの仕事が多かったりする小三馬。「化粧」というキーワードで、しかも時代劇の枠の中で、そこまで話を広げていけるとは、並の人間はできない技だ。
さて、漫画に惚れて今度映画の方も手を出しちゃったわけッスよ。ええ、台湾に戻ってきてアマゾンで衝動買いしてしまったよ、三ヶ月前に。買ってから一ヶ月放置したけど。
今日はふっと思い出し、取り出して二回目を見た。
ん〜どう言えばいいでしょうか。すごく日本的な映画だね。静かで、優雅で、こう…激しいぶつかりもなく、柔らかい優しさが溢れる作品だと思うが。
が。
インパクト弱いのかな…?二回見てもそんなに惹かれないな。
まず時代が大正になってしまってるところは…まあ、確かに大正の方が、和洋共存で華やかだとは思うけど。でも原作の中の「お江戸」なイメージが強すぎで、自分の中ではどうもしっくり来れなかった。椎名桔平の好演で、無口だけどいい男の小三馬ができ上がっているが、「化粧と女」に焦点を絞り、原作の「楽しい」部分がかなり削り捨てられ、耽美に走ったような気もする。
映像は確かに美しかった…でも…でも…なんだかチャン・イーモウの「英雄-HERO-」を思い出す。絵はいい…が!!!!!な感じだったな。