ニュース、見ててつらいよ

今週に入って、日本は地震、台湾は台風、天地異変の連続で、2000年にセカンドインパクトは起きなかったけど、なんか滅びの予感。
一昨日の台風で、一人の記者は亡くなった。当事者は不憫だが、失礼にも私は「とうとう死人が出たか」としか思わなかった。
実は前回の台風で、各局のレポーターは揃って水の中に入っていた。被災地区に入り、住宅の横で水面との距離が30センチもない配電盤に近づく者、積水がおよそ2mの地下室に足を踏み入れる者、膝をわざと曲げで水の高さをアピールするレポーターさえも出た。もし世に魔王という魔王が出現したら、勇者はぜひ台湾のレポーターから選ぼうと言いたいところだ。そのうち死者が出てもおかしくないとみたが、さすがに本当に出てしまうとやはり良い気分ではなかった。
9月頭の台風が過ぎ去ったあと、後輩の黒炭くん*1はこの怪現象を風刺する漫画を描いた(ラフ、中国語)
http://shock.heavy.jp/mokun/typhn.jpg
訳:
【タイトル】勇者達?
【1コマめ】TVRX
*2
皆様!私はいま、台風の被災地区にいます!
ご覧の通り災害がひどく、水は私の膝まで来ています!
【2コマめ】天中新聞
皆様!私はいま、台風の被災地区にいます!
ご覧の通り災害がひどく、水は私の胸まで来ています!
【3コマめ】SEEN
皆様!私はいま、台風の被災地区にいます!
ご覧の通り災害がひどく、私は流されそうになっています!
【4コマめ】明視新聞台
皆様!なんと現地住民が一人、こちらに流されてきました!
早速インタビューしていただきたいと思います!
すみません!今回の豪雨についてどう思いますか?
わ…私はSEENのレポーターです…
【欄外】あんたらフンバリしすぎないか--bb
って、現実になってきたら、ぜんぜん洒落になってないけどね。
台湾の報道モラルの低下は、今日昨日で知ったわけではないが、とうとう笑えないレベルにきました。情報整理能力の欠如、ジャーナリズムはいずこへという空洞化。テレビは、自分の身の周りにはない世界を手軽に覗ける窓だと思うが、こんな窓から見える世界は、なんて可笑しすぎで真実味が欠ける世界のであろう。いいや、「世界」がそうであるのではなく、やはり「マスコミがレンズと言葉で捉えた世界」がおかしかったんだろう。その真実味のない世界を、ガキの頃から見続ける子供達はこれからどうなるんだろうか、考えるだけで恐ろしい…分かっていても止められない自分が情けないと感じる。私も、もっと力があればな。まだ数年はかかりそうだが。

*1:黒炭くんのHPはこちら
   炭人形之館 http://shock.heavy.jp/mokun/

*2:それぞれ台湾で実在するテレビ局:TVBS、中天新聞、SETN、民視新聞台のもじり