審査員になる①

先月の中旬、台湾にファンタジー文学を広めようとする趣旨で成立した財団法人奇幻文化藝術基金會から、当法人の主催した奇幻芸術奨というコンテストの審査員になってくれというオファーが来た。かなり高額の賞金で、さぞかし相当な量の作品は集まり、あんなに時間を割いてくれる審査員を探すのも大変だろうと思ってはいるが、いろいろと新しい可能性との出会いもしたいので、とりあえず五つにもある項目からイラスト部門(白虎奨)とフィルム部門(玄武奨)両方の審査を引き受けることにした。いちおう専門分野(みたい?)ので。
結局、イラスト部門は260件の作品が集まり、フィルム部門は34件でした。主催者の方は作品を集めるため、最終的に締め切りを延ばすとか少しずるい手も使ったみたいけど、まあ第一回のコンテストにしてはいい集まりだと思う。
そして作品のデジタルデータが送ってきて、私は12日イラスト部門の選考会と13日フィルム部門選考会に備えて、前もってある程度の評価をしなければと、こつこつと合間を見て審査していく。絵や映像の審査員になるのも初めてだし、慎重にいこうと思っていた。
しかし、いいですね〜かわいいですね〜と言えるのも最初のうち、参加者の作品を一作一作見ていくうちに、おみゃーらイラストをなめてんのか!?映像表現をなめてんのか!?もしかして審査員をなめてんのか!?などと、思ってはいけないイケナイと思っていても、思ってしまう…思ってしまうよ!ゴラァ!
イラストの方はまだいいけど、「下手」というより「技術の稚拙」で片付けられるモノが多かったから。低年齢の参加者もかなりいるからしょうがないし、これで多少どう見ても下描きなしで一発鉛筆描きの何かなんだかよくわからないモノや、主体の形が全く整えてないのにCGで画面全体をキラキラさせてごまかそうとしてるモノとかは、むしろ少数派に見える。一見眩暈しそうなモノは、スペースキーで飛ばせるし。しかしフィルムの方は、そうはいかないけどな。
そう、飛ばせないのだ
いや、最初は飛ばしてみたけどさ。「とにかくまず最後まで見れた作品をピックアップしよう!」と軽い気持ちで、34作から12〜15作はキープできると予想(本当は20作選ばないと)。なのに一作飛ばし、二作飛ばし、最終的にはたった2作品しか最後まで見れなかった、しかもエントリーナンバーは連番。オーマイガー、なんてことだ。
まあ、みんな素人だからしょうがないじゃない…と慰めてもムダだ!参加者はほとんど映像学部の大学生かそれ以上だぞ!何だこの暗い画面?何だこの歯切れの悪い編集?何だこの意味のないシーンが延々と?お前たちは台湾の映像産業の将来を背負う人たちなんだぞ!ただでさえ今は不振な台湾映画なのに、さらに壊してどうすんだお前らわぁ!!!!とモニターの前に怒りまくって部下に抑えられる始末。《吼えろペン》11巻の内容を思い出してブツブツと呟く。
ともあれ、このままではやばいと飛ばさないで最初から見ることにした。結局やはり2作しか「まともな映像作品を見た」感じがしなかった…強いて言えば3作か。その合わせて25分もない2〜3点の秀作との出会いために、私はトータル4時間も費やしてしまったのかぁ…返せ!私の時間と青春を返せ!と叫びたくなる一日だった。
でも、こんなのにめげちゃダメだと、たかが260作、たかが4時間、この間竹熊健太郎さんが自分のブログに触れた大学課題の採点での700作品と比べると、全然楽のような気がする…と言ったらウソになるけどね(汗)しかし賞金のついた作品もこんなレベルだと、賞金のついてない課題は多分もっともっとひどかったであろう。こっちの方はまだよかった…のかな。
作品を見て、いろいろ採点や評価とはあまり関係のないことを悶々と考えたが、それでもがんばろうと思い、がんばった。本当にがんばったよ。そして胸張って、12日と13日の選考会を迎えた。