墓参り

今日は清明節。お墓を清め、先祖を供養する日だ。一昨年も去年も日本にいたので、参加しなかった。二年ぶりの墓参りだ。
五年以上も前かな。うちの家系と曾祖父の兄弟の家系、つまり遠縁の親戚と資金を出し合い、基隆の郊外で立派な合祀墓を立てた。それは大きな墓みたいな建物で、中にはロッカー式の納骨堂になっているモノだ。落成に合わせて曾祖父と曾祖母の骨を拾い、焼いて骨壷に収め、現在のところに移した。そしてお墓の清掃と祭る儀式が終わってから、家族全員が基隆市内のレストランで会食するのが、うちの家族の習しだ。
うちの旧家は基隆にあり、私も小学三年生までは基隆に住んでいた。現在すでに90歳を越えた大伯父も、いまだに基隆に住んでいる。
基隆は、塩味の風が吹いてる港町だ。
せっかく戻ってきたから、親と少し市内を歩いてみた。懐かしい屋台、港沿いの繁華街、真ん中には何本の橋がかかる大通り。なぜかみんな少し色褪せていて、薄汚れになっていた。昔はあんなに輝いているように見えたのに。
基隆は昔、重要海港として貿易とかで繁盛していたが、高雄港の開発の進みにつれ、没落しつつある。台北から車で30分のはずだが、高速から降りる最後の二キロのために、15分も費やされるのもしばしば。このように、高速の出入口がノーマルの交通量でさえカバーできないという大きな問題は、十年経っても完全な解決ができなかった。台北にはこんな近いのに、後背地としての利点が生かせない。というよりその利点を生かせる税収もなかった。海港の税収は全部国に持っていかれるし、夜市観光で返り咲きを図るが屋台は税金を払わない。悪循環に陥っている。もし台北の方から捷運(地下鉄、モノレールシステム)を一本基隆まで引いて来れば、基隆も台北も結構変わると思うが、台北県と台北市の長年の政党争いに絡み、なかなか構ってもらえないのが現状。残念だ。
子供の頃に途轍もなく大きく感じる基隆の街は、いつしかこんなに小さくなった。しかもその街はまたどんどん小さく縮んで行くように見えるのが、寂しくて仕方が無かった。