夢と知りせばさめざらましを

経緯を省略して現状だけ書いておきましょう。
先月末から作画作業し始めた担当話数は、全体から見ると約一週間の遅れは目立つが、なんとか進行していました。しかし今週でちょっといろいろありまして、40近くのカットが作画さんから引き上げ決定になってしまい、とてつもない穴が開きました。なぜなら、私が担当しているこの話数の総カット数は、300もないんですから。
早く作業を引き受けてくれる原画さん探さなきゃと、早く撒かなきゃと、早くこの穴を埋めなきゃと、今週はずっとそのことで悩んでいました。電話したり、別班の原画さんに泣き付いたり、先輩後輩の制作の皆さんにねだる。
そして、いつの間に私は阿佐ヶ谷のあるスタジオにいた。
前にOVA作品で約半年以上お世話になった作監クラスの原画のNさんのところじゃないか!そうか!確か設定資料とかを見せる約束だったんだ!と、軽い挨拶の後で、早速リュックの中から設定資料、カットリストと、作業者待ちのカットに丸つけてるコンテを渡した。
でもこの頃テレビのメカ作監でお忙しいのでは?「まあ、この話数ならメカ少ないし、その次の話数の作画レベルは今のところ見てみて、出来はそんなにも悪くないからな。」そうですか…(中略)どうですか?コンテを見て…「そうだね。コンテマンって絵のうまい人だね。」できるなら本当は作監頼みたい方なんですよ…「ん、コンテの絵も丁寧だし、じゃここブリッジの部分をやるよ。」ええっ!(23カットも!?)ありがとうございます!「でもやっぱり(別作品のコンテを見せ)こっちがメインだから、何かあったら、もしかして一原のみでしか面倒見れないよ。」大丈夫です!大丈夫です!「じゃそういうことで。作打ちとかをよろしくね。」ハイ!
ということで、本当に嬉しかった。ビルから出て、自転車の錠を外しながら、神にNさんに感謝していた。そして自転車を乗り、新宿に向かってレッツゴーと…
ここで目覚めました。自分が自宅のベッドの上だったということを認識できたのは少々時間をかかったと思います。ちょっと待て、ではさっき撒いた23カットって…
夢か。
現実逃避したいというのは、つまりこういうことでしょうね…と、自己反省を試みてみましたが、やはり悔しさが胸いっぱいでした。ああっ、夢なのか!?
蛇足ですが、この話はわざと夢オチにするつもりではありません。本当の夢ですから。しかも自分はあまり夢見ない(見ても覚えていないのが多い)体質ですので、こんな鮮明に覚えていること自体はすごく珍しいのに…ううっ、余計に悔しくなってきたよぉぉぉぉ…
現実でも撒いてやるぞ!